８月５日　　
どの裁判を選んで良いかわからないので、刑事事件の窃盗・家宅侵入の裁判を傍聴する事にした。　法廷のドアをそっと空け、手近な椅子に座る。　傍聴人は２０人ほど、裁判長、検察官弁護人被告人が揃っており、今始まったところだった。
被告人　男性　２７歳　独身　（婚約者あり）　身柄拘束中
①　以前勤めていた会社の同僚（同じ部屋に住んでいた）の財布４万円を盗んだ
②　今まで勤めていた同僚の部屋に窓ガラスを破り侵入し、８千円入りの貯金箱を盗んだ
人定質問、検察官の起訴状朗読等冒頭手続きが始まる。　証拠調べの手続きで犯罪事実に関する立証や被告人質問については被告人も弁護人も内容を争うような事はなかった。　しかし情状に関する立証では、若干言い訳じみた証言をしていた。　テレビや映画で見る法廷の様子変わらないが、いま目の前で行われている裁判の現実のリアルさがひしひしと伝わってくる。　求刑は１年６ヶ月、判決は後日。　弁護人は被告人が更生する可能性を論じてはいたが、現実としては？を感じた。　
始めて刑事事件裁判の傍聴をして、被告人の愚かさと人の弱さ脆さと現実の切なさを感じた。

2015.8



８月２８日　　
８月５日に傍聴した刑事裁判　「児童買春、児童ポルノ禁止違反、強姦、恐喝未遂の裁判」　の第二審が８月２５日１３時３０分にあるので傍聴に行ってみた。　前回と同じ法廷で傍聴席も前回と同様にほぼ満席であった。　
被告人　男性　３６歳　独身（事件後離婚）　無職（事件後解雇）　身柄拘束中
今回の裁判は児童買春、児童ポルノ禁止違反、強姦、恐喝未遂の裁判。
①　出会い系サイトでの記事を見て１６歳（高校中退アルバイト中）Ａ子に６万円を貸与し、返金するまで指示に従うと約束させ買春をした。
②　この時　被告人は自分の携帯電話でその時のＡ子の裸やその行為中の写真を撮った
③　後日　指示に従わないＡ子に「写真をばらまく」と脅し、畏怖させるメールを送り続け　強引に呼び出し、強姦した。　この時被告人は「あの時は合意の上だった」と証言している。
④　その後　Ａ子がメール連絡に応じないため、Ａ子の姉に「妹の写真をばらまく」とお金を脅し取ろうとしたが　警察に通報され未遂となった。
まるで　ドラマのような内容の裁判に緊張気味に法廷に入る。　傍聴席はほぼ満席、あとから入ってきて、戻って行く人もいた。　腰縄をうたれた被告人をじっと見てみる。　色白ののっぺりした顔つきで、悪人面と言うよりも一癖ありそうな顔に見えた。　
人定質問、起訴状朗読、黙秘権の告知、と冒頭手続きから証拠調べ手続きに移る。　検察官が冒頭陳述を読み上げ犯罪事実に関する立証をおこなう。　次々と証拠の提出がされるが弁護側からの異論は全く出ない。　被告人の情状に関する立証で被告人の父親が証人となる。　弁護人、検察官、裁判官の質問に答えているが７０歳くらいに見える父親は茫然とし、しどろもどろの返事で、ただ、ただ哀れに見えた。　検察官論告の時、被害者の母親からの手紙を弁護士が代読した。　家庭は母が離婚し母子家庭、Ａ子は高校を中退し家にこもるようになりアルバイトを転々していた。　「ためらい傷をするほど苦しんでいた娘の信号に気付いてやれなかったのが残念で、残念でならない」と綴られていた。　検察官の論告そして求刑となる。　そして懲役６年を求刑した。　
この発端となった出会い系サイトを厳重に取締るとともに、出会い系サイトの実態、結果の”罠”を対象者に良く知らしめ被害者を出さないようにしなければならないと痛感した。
被告人は会社員であり、結婚もしていた。　事件発覚後、会社は解雇され、妻とは離婚し、住まいは手放して、社会人としてのすべてを失った。　
この事件で、被害者も被告人も、何をどうすればどういう結果になるのかは、その気になって考えればわかりそうだと思うが・・・・・・(１６歳の女性にこう言っては酷だろうか）

2015.9.